東京都心から始まる絶好のサイクリングスポット、荒川サイクリングロード(通称:荒サイ)。河口から埼玉県の武蔵丘陵森林公園まで約80kmにわたって整備された荒サイは、ロードバイク愛好家からファミリーサイクリストまで幅広い層に親しまれています。自然豊かな景色を眺めながら、アップダウンの少ない平坦な道を気軽に走れるため、ポタリング(のんびりと景色を楽しむ自転車散歩)にも最適なコースです。
この記事では、荒川サイクリングロードでのポタリングを楽しむための基本情報から、おすすめコース、休憩ポイント、注意点まで詳しくご紹介します。これから荒サイデビューを考えている方も、すでに何度か走ったことがある方も、より充実したポタリングのための情報をお届けします!

荒川サイクリングロードの基本情報と特徴は?
荒川サイクリングロードは、東京湾河口から埼玉県の武蔵丘陵森林公園まで続く約80kmの長大なサイクリングコースです。正式にはサイクリングロードとして設定されているわけではなく、河口から埼玉県の羽倉橋までの緊急用河川敷道路(河川管理用道路)と「さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線(荒川自転車道)」の一部を合わせた非公式のコースとなっています。
左岸と右岸について
荒川サイクリングロードには、下流に向かって左側の「左岸」と右側の「右岸」があります。両岸の特徴を理解しておくと、自分のライドスタイルに合わせたコース選びができます。
右岸(下流に向かって右側)
- 河口から秋ヶ瀬橋(約34km)までは全線舗装され走りやすい
- 東京区間は野球場などの運動施設があり通行人が多め
- 秋ヶ瀬橋~上江橋間は一部未舗装区間がある
- 上江橋から大芦橋までは狭めながらも舗装された自転車道がある
左岸(下流に向かって左側)
- 河口から上江橋(約45km)までは全線舗装されている
- 河口から8.5kmまでは比較的人が少ない
- 羽倉橋~上江橋間には竹林や田んぼ区間など景観の変化が楽しめる
- 上江橋以降は「県央ふれあいんぐロード」として整備されているが分岐が多く迷いやすい
距離の目安
荒川サイクリングロードは距離が長いため、自分の体力や時間に合わせてコース設定することが大切です。ポタリング初心者の方は、まずは短い区間から挑戦するのがおすすめです。
- ショートコース:10〜20km(約1〜2時間) 例:新木場駅〜葛西臨海公園(往復)
- ミドルコース:20〜40km(約2〜4時間) 例:新木場駅〜戸田橋(片道)
- ロングコース:40km以上(4時間以上) 例:新木場駅〜秋ヶ瀬公園または榎本牧場
初心者におすすめの荒川ポタリングコースは?
荒川サイクリングロードは広大で様々なコース設定が可能ですが、特に初心者の方におすすめのポタリングコースをいくつかご紹介します。
1. 新木場〜葛西臨海公園コース(約15km往復)
特徴
- 初めての荒サイに最適な入門コース
- 河口付近の開放的な景色が楽しめる
- 道幅も広く走りやすい
アクセス
- スタート:JR「新木場駅」から約6kmで荒川サイクリングロード右岸に合流
- ゴール:葛西臨海公園(観覧車や水族館もあり、休憩にぴったり)
見どころ
- 東京ゲートブリッジの眺め
- 東京湾の開放的な景色
- 葛西臨海公園の観覧車「ダイヤと花の大観覧車」
2. 秋ヶ瀬公園〜榎本牧場コース(約18km片道)
特徴
- サイクリスト間で人気の定番コース
- 変化に富んだ景観が楽しめる
- 田園風景や竹林など自然を感じられる
アクセス
- スタート:秋ヶ瀬公園(大きな駐車場あり、車で自転車を運ぶ人も多い)
- ゴール:榎本牧場(絶品ジェラートが人気の牧場)
見どころ
- 羽根倉橋付近の田園風景
- 竹林の小道(涼しげな雰囲気が夏に嬉しい)
- 西遊馬公園
- 榎本牧場のジェラート
3. 岩淵水門〜彩湖コース(約20km往復)
特徴
- 都内から始められる手軽なコース
- 水辺の景色や歴史的な建造物が楽しめる
- 比較的混雑が少ない
アクセス
- スタート:岩淵水門(赤水門・青水門)周辺
- ゴール:彩湖・道満グリーンパーク
見どころ
- 岩淵水門(通称「赤水門」と「青水門」)
- 荒川知水資料館 amoa(入館無料)
- 彩湖(水鳥の飛来地としても知られる)
荒川サイクリングロードでの休憩・補給ポイントはどこがある?
長距離を走る荒川サイクリングロードでは、適切な休憩・補給ポイントを知っておくことが重要です。特にポタリングでは、美味しいグルメスポットに立ち寄るのも楽しみの一つです。
主要な休憩・補給ポイント
都内エリア(河口〜岩淵水門)
- 新砂リバーステーション(0km地点)
- トイレあり
- 荒川サイクリングロードの起点とされる場所
- 葛西臨海公園(河口から約7km)
- カフェ、レストラン、売店あり
- トイレ、休憩所完備
- ビッグカレーパン(パン生地にもカレーが練りこまれた名物)が人気
- 荒川知水資料館 amoa(21km地点付近)
- 入館無料の資料館
- トイレあり
- 荒川の治水の歴史が学べる
埼玉エリア(岩淵水門〜上流)
- キッチンとれたて(左岸・河口から24km地点)
- サイクリスト定番の休憩スポット
- 昼食やカフェメニューが充実
- レストラン「さくら」(鹿浜橋から0.8km上流の左岸)
- 数十種類の味が楽しめるソフトクリームが人気
- カフェダイニング529(ゴフク)(上江橋付近)
- サイクルラック完備
- 地元野菜を使った料理が評判
- 「上尾カレー」が定番メニュー
- 榎本牧場(左岸・開平橋付近、定番コース53km付近)
- サイクリストに大人気のジェラート店
- サイクルラックあり
- 牛やミニブタなどの動物も見られる
- 吉見町サイクルステーション(右岸・68.5km地点)
- トイレ、自販機あり
- 軽食や自転車の消耗品販売
- 冷房完備で夏場の休憩にぴったり
コンビニアクセス
荒川サイクリングロードは河川敷を走るため、直接コンビニにアクセスできる場所は少ないですが、橋の付近ではサイクリングロードから離れると数分でコンビニに到達できることが多いです。特に以下の橋の周辺ではコンビニが見つけやすい傾向があります:
- 新荒川大橋周辺
- 戸田橋周辺
- 秋ヶ瀬橋周辺
- 上江橋周辺
ただし、上流に行くほどコンビニなどの補給場所は少なくなるので注意が必要です。
荒川ポタリング時の注意点やマナーは?
荒川サイクリングロードを安全に楽しむため、以下の注意点やマナーを守りましょう。
安全面での注意点
- 風への対策
- 荒川は北西方向に一直線に伸びているため、風の影響を直接受けやすい
- 特に冬の北風が強い日は「荒川峠」と呼ばれるほど厳しい条件になることも
- 天気予報とともに風向きもチェックしておくとよい
- 水たまり対策
- 晴れた日でも(特に雨上がり)土手から水が浸み出してくることが多い
- 背中やサドルバッグが汚れるので、小型の泥除けの装着を検討するとよい
- 暑さ対策
- 特に夏場は日陰が少なく、照り返しも強いため熱中症リスクが高い
- 十分な水分と塩分の補給を心がける
- 日焼け止めや帽子、アームカバーなどの紫外線対策も重要
- 工事による迂回
- 河川敷のため護岸工事や災害復旧工事によるルート変更が頻繁にある
- 事前に最新情報を確認するか、迂回路の案内に従う
マナーについて
- 歩行者優先を徹底
- 下流側は自転車専用道ではなく「緊急用河川敷道路」を利用したコース
- どの道でも歩行者を優先し、いつでも止まれる速度で走ることが基本
- 集団走行時の注意
- 特に東京区間は野球場や公園を利用する人が多く通行する
- 高速での集団走行は控え、周囲への配慮を忘れない
- ベルの使い方
- 追い越す際は、十分に手前でベルを鳴らして存在を知らせる
- ただし、ベルの音で驚かせないよう配慮する
- ゴミの持ち帰り
- 補給食の包装や空のボトルなどは必ず持ち帰る
- 美しい環境を維持するために協力を
季節別・荒川サイクリングロードの楽しみ方は?
荒川サイクリングロードは四季折々の表情を見せてくれます。季節ごとの特徴を知っておくと、より充実したポタリングが楽しめます。
春(3月〜5月)
見どころ
- 入間大橋付近の桜並木
- 吉見桜堤公園の約1,000本の桜(満開時は人が多い)
- 菜の花とのコラボレーション景色
おすすめコース
- 入間大橋〜吉見桜堤公園コース(桜のシーズン限定)
- 秋ヶ瀬公園〜西遊馬公園コース(新緑が美しい)
注意点
- 桜のシーズンは一部区間が混雑するため、早朝や平日がおすすめ
- 春の嵐で風が強い日があるので天気予報をチェック
夏(6月〜8月)
見どころ
- 河川敷の緑と青空のコントラスト
- 葛西臨海公園での海風
- 竹林区間の涼しさ
おすすめコース
- 新木場〜葛西臨海公園コース(海風が心地よい)
- 岩淵水門〜彩湖コース(比較的木陰が多い)
注意点
- 日差しが強く熱中症リスクが高いため、早朝や夕方がおすすめ
- 水分補給を十分に行い、休憩をこまめに取る
- UVカット対策を忘れずに
秋(9月〜11月)
見どころ
- 吉見桜堤公園の曼珠沙華(彼岸花)
- 秋の田園風景
- 紅葉(特に上流区間)
おすすめコース
- 秋ヶ瀬橋〜吉見桜堤公園コース(9月中旬〜下旬の曼珠沙華)
- 上江橋〜森林公園コース(紅葉が美しい)
注意点
- 秋は気温の変化が大きいため、着脱しやすい服装がおすすめ
- 時期によっては日没時間が早まるため、ライトの準備を忘れずに
冬(12月〜2月)
見どころ
- 晴れた日の澄んだ空気と富士山の眺め
- 静かな河川敷の景色
- 冬鳥の飛来(特に彩湖周辺)
おすすめコース
- 岩淵水門〜彩湖コース(冬鳥観察)
- 新木場〜新荒川大橋コース(富士山ビューポイント)
注意点
- 北風が強く寒い日が多いため、防寒対策は必須
- 特に上流へ向かう際は向かい風になりやすい
- 日没が早いため、ライト・リフレクターの準備を忘れずに
荒川サイクリングロードは初心者から上級者まで楽しめる魅力的なコースです。自分のペースで風景を楽しみながら、のんびりとポタリングを楽しんでみてください。季節ごとに変わる表情も魅力の一つなので、ぜひ四季折々の荒サイを体験してみてください!
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